敬語の使い方完全ガイド|尊敬語・謙譲語・丁寧語の違いと例文
「させていただく」の使いすぎ、「なるほどですね」は正しいの?——敬語は日本語の中でも特に難しく、社会人になっても不安を感じている方が多いテーマです。
こんにちは、マナー講師のゆりこです。秘書検定1級の資格を持ち、10年以上にわたって企業研修やマナー指導を行ってまいりました。
敬語は、相手への敬意を言葉で表現する日本語ならではの美しい文化です。正しく使えれば信頼感が生まれ、ビジネスでもプライベートでも人間関係がスムーズになります。
この記事では、敬語の3種類の違いから、間違いやすい敬語30選、ビジネスシーン別の正しい敬語まで、例文とともに丁寧に解説いたします。ぜひブックマークして、困ったときの辞書代わりにお使いくださいね。
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敬語の3種類|尊敬語・謙譲語・丁寧語の違いを理解しよう
敬語は大きく分けて「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類があります(文化庁の分類では5種類に細分化されますが、実用上は3種類で理解すれば十分です)。
| 種類 | 役割 | 誰の動作に使う? | 例 |
|---|---|---|---|
| 尊敬語 | 相手を高める | 相手・目上の人 | いらっしゃる、おっしゃる、召し上がる |
| 謙譲語 | 自分を低める | 自分・自社 | 参る、申す、いただく |
| 丁寧語 | 丁寧に表現する | 誰でも | です、ます、ございます |
尊敬語とは|相手の動作を高める表現
尊敬語は、相手や目上の方の動作・状態を高めて表現する言葉です。「相手を立てる」ときに使います。
| 普通の表現 | 尊敬語 |
|---|---|
| 言う | おっしゃる |
| 行く・来る | いらっしゃる、おいでになる |
| 食べる | 召し上がる |
| 見る | ご覧になる |
| 知る | ご存じ |
| する | なさる |
| 読む | お読みになる |
| くれる | くださる |
| いる | いらっしゃる |
| 聞く | お聞きになる |
作り方のパターン:
- 「お/ご + 動詞 + になる」(例:お読みになる、ご覧になる)
- 「お/ご + 動詞 + くださる」(例:お待ちくださる)
- 特別な形(例:いらっしゃる、おっしゃる、召し上がる)
謙譲語とは|自分の動作を低める表現
謙譲語は、自分や自分側の動作を低めて表現する言葉です。自分を低めることで、間接的に相手を高めます。
| 普通の表現 | 謙譲語 |
|---|---|
| 言う | 申す、申し上げる |
| 行く | 参る、伺う |
| 食べる | いただく |
| 見る | 拝見する |
| 知る | 存じる、存じ上げる |
| する | いたす |
| もらう | いただく、頂戴する |
| あげる | 差し上げる |
| 聞く | 伺う、拝聴する |
| 会う | お目にかかる |
作り方のパターン:
- 「お/ご + 動詞 + する(いたす)」(例:お伝えする、ご連絡いたす)
- 特別な形(例:参る、申す、拝見する)
丁寧語とは|文末を丁寧にする表現
丁寧語は、話し方そのものを丁寧にする表現です。尊敬語や謙譲語と違い、誰の動作にも使えます。
- 「〜です」「〜ます」(基本の丁寧語)
- 「〜でございます」(より丁寧な表現)
- 「お水」「ご飯」などの美化語も広義の丁寧語に含まれます
ゆりこの覚え方ヒント
迷ったときは「誰の動作か?」を考えましょう。
・相手の動作 → 尊敬語
・自分の動作 → 謙譲語
・どちらでもない → 丁寧語
この3つのルールを覚えるだけで、敬語の使い分けがグンと楽になりますよ。
間違いやすい敬語30選|あなたは正しく使えていますか?
日常的に使っている敬語の中には、実は間違いだったというものが数多くあります。ここでは、特に間違いやすい敬語を30個ピックアップしました。
【1〜10】日常会話で間違えやすい敬語
| No. | 誤った表現 | 正しい表現 | 解説 |
|---|---|---|---|
| 1 | 了解しました | 承知いたしました/かしこまりました | 「了解」は目上には不適切。同僚や部下に使う分にはOK |
| 2 | なるほどですね | おっしゃる通りです | 「なるほど」自体が上から目線の相槌とされることがある |
| 3 | ご苦労様です | お疲れ様です | 「ご苦労様」は目上が目下にかける言葉 |
| 4 | お名前を頂戴できますか | お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか | 名前は「もらう」ものではない |
| 5 | とんでもございません | とんでもないことでございます | 「とんでもない」で一つの形容詞。ただし慣用として許容される場面も |
| 6 | 参考になりました | 勉強になりました | 「参考」は自分の判断材料という意味で、目上には失礼になることがある |
| 7 | すみません | 申し訳ございません | ビジネスでの謝罪には「申し訳ございません」が適切 |
| 8 | おわかりいただけましたか | ご理解いただけましたでしょうか | 「わかりましたか」は上から目線の印象に |
| 9 | ご一緒します | お供いたします | 「一緒」は対等な関係を示す言葉 |
| 10 | 大丈夫です | 問題ございません/結構でございます | 「大丈夫」はカジュアルすぎる表現 |
【11〜20】ビジネスメールで間違えやすい敬語
| No. | 誤った表現 | 正しい表現 | 解説 |
|---|---|---|---|
| 11 | お体をご自愛ください | ご自愛ください | 「自愛」に「体を大切に」の意味が含まれるため二重表現 |
| 12 | 各位様 | 各位 | 「各位」自体に「様」の意味が含まれる |
| 13 | ○○様でございますか | ○○様でいらっしゃいますか | 「ございます」は丁寧語。相手には尊敬語を使う |
| 14 | ご確認してください | ご確認ください/ご確認いただけますでしょうか | 「ご〜して」は誤った敬語の形 |
| 15 | 送らさせていただきます | お送りいたします | 「さ入れ言葉」+「させていただく」の過剰敬語 |
| 16 | 拝見させていただきます | 拝見いたします | 「拝見」自体が謙譲語なので二重敬語 |
| 17 | お伝えいたしますでしょうか | 申し伝えましょうか | 伝言を預かる際は「申し伝える」が適切 |
| 18 | とりあえず | まずは/取り急ぎ | 「とりあえず」はカジュアルすぎる |
| 19 | わが社 | 弊社/当社 | 社外には「弊社」、社内向けには「当社」 |
| 20 | お客様がお見えになられました | お客様がお見えになりました | 「お見えになる」+「られる」で二重敬語 |
【21〜30】電話・接客で間違えやすい敬語
| No. | 誤った表現 | 正しい表現 | 解説 |
|---|---|---|---|
| 21 | ○○はお休みをいただいております | ○○は休みを取っております | 自社の人間に「いただく」は不適切。社外への対応の場合 |
| 22 | お座りください | お掛けください | 「お座り」は犬のしつけを連想させる方もいる |
| 23 | こちらになります | こちらでございます | 「〜になる」は変化を表す言葉。誤用として広まっている |
| 24 | よろしかったでしょうか | よろしいでしょうか | 現在のことに過去形を使うのは不自然 |
| 25 | ○○円からお預かりいたします | ○○円お預かりいたします | 「から」は不要 |
| 26 | どうぞいただいてください | どうぞお召し上がりください | 「いただく」は謙譲語。相手には尊敬語を使う |
| 27 | お越しいただけますでしょうか | お越しいただけますか | 「ます」+「です」の二重丁寧語。ただし慣用として許容も |
| 28 | 拝読していただけますか | お読みいただけますか | 「拝読」は謙譲語。相手の動作には尊敬語を使う |
| 29 | 申された | おっしゃった | 「申す」は謙譲語。相手の発言には「おっしゃる」 |
| 30 | どちら様ですか | お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか | 「どちら様」は直接的すぎる場面がある |
ゆりこのワンポイント
二重敬語(尊敬語+尊敬語など)は、丁寧にしようとするあまり犯しやすい間違いです。「お読みになられる」「おっしゃられる」などが代表例。一つの動詞に敬語は一つ、と覚えておきましょう。
ビジネスシーン別|正しい敬語の使い方
ここからは、実際のビジネスシーンで使える敬語を場面別にご紹介いたします。
電話対応の敬語
電話は声だけのコミュニケーションだからこそ、敬語の正確さが問われます。
【電話を受けるとき】
- 「お電話ありがとうございます。○○会社の△△でございます」
- 「少々お待ちくださいませ」(保留にする場合)
- 「申し訳ございません。○○はただいま席を外しております」
- 「折り返しお電話を差し上げてもよろしいでしょうか」
- 「お電話いただきありがとうございました。失礼いたします」
【電話をかけるとき】
- 「お忙しいところ恐れ入ります。○○会社の△△と申します」
- 「○○様はいらっしゃいますでしょうか」
- 「お手すきの際にお電話いただけますと幸いです」
- 「お時間を頂戴し、ありがとうございました」
メール・文書の敬語
ビジネスメールは記録に残るため、特に正確な敬語が求められます。
【よく使うメールフレーズ】
- 「お世話になっております」(冒頭の定番挨拶)
- 「ご確認のほど、よろしくお願いいたします」
- 「ご多忙のところ恐縮ですが」
- 「ご査収くださいますようお願い申し上げます」
- 「何卒よろしくお願い申し上げます」(結びの言葉)
- 「取り急ぎ、お礼申し上げます」
- 「ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください」
会議・プレゼンの敬語
- 「本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます」
- 「僭越ながら、私から説明させていただきます」
- 「ご質問がございましたら、お気軽にお申し付けください」
- 「貴重なご意見をいただき、ありがとうございます」
- 「ご検討いただけますと幸いです」
接客・来客対応の敬語
- 「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか」
- 「お待たせいたしました」
- 「ただいま担当の者を呼んでまいります」
- 「こちらにお掛けになってお待ちくださいませ」
- 「本日はお越しいただき、ありがとうございました」
上司・先輩への敬語
- 「○○部長、少々お時間をいただけますでしょうか」
- 「ご指導いただき、ありがとうございます」
- 「おっしゃる通りでございます」
- 「勉強になりました。ありがとうございます」
- 「確認の上、改めてご報告いたします」
「させていただく」の正しい使い方
近年よく使われる「させていただく」ですが、本来は「相手の許可を得て行う」「自分に恩恵がある」という2つの条件を満たすときに使う表現です。
○「本日は休暇をいただいております」→ 許可を得ている
○「拝見させていただきます」→ 許可を得て見る
× 「担当させていただいている○○です」→ 許可の意味合いが薄い
使いすぎると回りくどい印象を与えますので、「いたします」「申し上げます」など、他の謙譲表現も活用しましょう。
敬語に関するよくある質問
Q1. 「了解しました」は本当にNGですか?
「了解しました」は文法的には間違いではありませんが、ビジネスマナーの観点からは目上の方には避けた方が無難です。「承知いたしました」「かしこまりました」を使いましょう。同僚や部下に対しては「了解しました」でも問題ありません。
Q2. 二重敬語はすべてNGですか?
原則として二重敬語は避けるべきですが、慣用として定着しているものもあります。例えば「お召し上がりになる」「お見えになる」は二重敬語ですが、広く使われており許容されています。ただし、「おっしゃられる」「お読みになられる」などは避けましょう。
Q3. 社内メールでも敬語は必要ですか?
はい、社内メールでも丁寧語は使いましょう。ただし、社外メールほど堅くする必要はありません。上司には「です・ます」調で丁寧に、同僚には少しカジュアルでも構いません。会社の文化に合わせることも大切です。
Q4. 敬語を間違えてしまったときはどうすればいいですか?
すぐに気づいた場合は「失礼いたしました」と訂正すれば大丈夫です。後から気づいた場合も、次の機会から正しい表現を使えばよいでしょう。完璧を求めすぎて萎縮してしまうよりも、丁寧に伝えようとする気持ちが大切です。
Q5. 敬語力を効率よく高めるにはどうすればいいですか?
まずは「よく使う表現」から正しく覚えることをおすすめします。本記事の30選を参考に、自分がよく使うフレーズをチェックしてみてください。また、秘書検定やビジネスマナー検定の問題集を解くのも効果的です。日頃から上司やニュースキャスターの言葉遣いを意識して聞くのも良い練習になりますよ。
まとめ|敬語は「相手を大切にする気持ち」の表れ
この記事のポイント
- 尊敬語=相手の動作を高める、謙譲語=自分の動作を低める、丁寧語=文末を丁寧にする
- 「了解しました」「なるほどですね」など、日常的に誤用されている敬語が多い
- 二重敬語に注意(一つの動詞に敬語は一つ)
- 「させていただく」の使いすぎに注意
- 完璧でなくても、丁寧に伝えようとする気持ちが大切
敬語は一朝一夕で完璧にマスターできるものではありません。大切なのは、相手を大切にしたいという気持ちを言葉に乗せることです。
間違いを恐れず、少しずつ正しい表現を身につけていきましょう。この記事が、皆さまの敬語力向上のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
